お散歩中に出会った、真っ赤に熟れたマムシグサの実。つぶらな瞳で、こちらを見つめているようです。

大学セクハラ談義

私が大学の学生だった頃は、今ほどハラスメントにうるさくなかったせいか、大学の中は無法地帯と言いますか、様々なハラスメントがそこかしこで行われていました。

学生による飲酒運転が黙認されているような状態だったので、大学の中だけでなく、世の中そのものが今よりおおらかだったのかもしれません。

そんなおおらかな時代に、the男社会である大学の理系学部で私が体験したセクハラを赤裸々にご紹介いたします。

Case1: パワハラ混在型

さて、問題です

↓は誰のセリフでしょう?

「配属研究室は何処にするの?その答えによってこの答案の点数が決まるな~」

はい、正解は、私の向かいに座り、私が今受けたばかりの試験の答案をひらひらさせながらニヤニヤしている教授です!

部屋には私とセクハラ教授の2人だけ!

色んな意味で怖すぎる!!

体調不良で試験を受けられず、教授の部屋で追試を受けた後の、数時間におよぶオレ様スゲー、オレの業績すげーの話の締めくくりの一言でした。

一見パワハラっぽい発言ですが、この教授の研究室は、男性は卒業させてもらえないと評判の、女性ばかりが在籍する花園みたいな研究室で、そういった状況も影響してか、なんとなくパワハラよりセクハラと受け取れました。

この熱烈(?)な勧誘に対し、

「どうしても研究したい題材があるので〇〇研究室を希望している」

と明確に回答した私に対してセクハラ教授は、

「大学の研究室というところは、研究の仕方を学ぶ場であり、研究の題材は重要ではない。より良い教育を受けるためには教授が優秀な(!)、ウチみたいな研究室を選ぶべきだ」

と、のたもうておいででしたが、大学卒業後に就職する学生に対してならともかく、ゆくゆくは博士号を取得してアカポスに着任したいと考えている学生にそんなこと言ってもねー。

また、私が希望する研究室のボスが科研費を獲得していないことを持ち出しについて、

「研究者たるもの科研費を取得してこそ一人前だ。この大学には科研費も取得できないような教員がたくさんいるが、そんな人たちに研究能力があるとは言えない」

と言いながら、セクハラ教授の名前が記載された科研費採択者一覧を見せびらかされました。

その際、リストの中で最高額の科研費を取得されている先生の欄を指さし「この金額凄いですね」と言った私に対し、

「金額は重要じゃない!」

と、仰っていましたが、科研費って、もちろん採択されるだけで立派ですけど、金額も重要ですよ。

私がポスドク時代を過ごした研究室では、ボスはもちろん、先輩方も日常的に科研費を獲得していました。

私自身、申請した科研費は全て採択されていました。

そんな研究室に在籍していた身としては、まぁ、額はともかくとして、科研費って、採択されなかったら確かにしょんぼりしてしまうけれど、別に採択されたからってドヤ顔するようなもんでもないと思うんですよね。

それを、リスト見せながらオレ様スゲーって自慢して、「金額は重要じゃない!」なんて啖呵切っちゃうなんて、やっぱりセクハラするような人間って大したこと無いよな、と、当時を振り返りしみじみ思います。

ちなみに私が卒業研究を行う研究室として選んだ研究室のボスは、前述の通りセクハラ教授が提示したリストにお名前は載っていませんでした。

その先生は確かに科研費は獲得していなかったけれど、その他の助成金などは数多く獲得しておられ、学生を研究費用の面で困らせるようなことはありませんでした。

学生の出張旅費などは身銭を切っていたようで、これに関しては、大学教員として正しい在り方かどうかは私には判断できません。

でも、喰うにも困るド貧乏学生時代に心行くまで研究ができたのは間違いなく当時のボスのおかげで、私としては感謝の気持ちしかありません。

とはいえ、セクハラ教授の仰っていたことの中には納得できることもありました。

「科研費獲得して初めて研究者として一人前」

というのは確かにその通りかもしれません。

科研費に採択されるような書類作成能力は研究者には必須ですし、外部資金を獲得できないと研究者として競争社会の荒波を乗り越えてゆけるだけの成果を出すことは難しいでしょう。

しかしながら、なんぼほど研究者として立派でも、学生にセクハラするような人間はウ〇コにも等しいダメダメ教員だと思います。

いや、比べたらウ〇コに失礼か。

なお、本件で私が追試を受けた講義は、20人程度の学生が受講して、単位をゲットできたのは私を含めて3人のみでした。

私以外のお2人は本当に優秀でしたが、私はテストの点数もいまいち(50点いただきました)だったし、出席率も悪かったので、口止め料として単位をくれたのかな?と思っています。

Case2: 単なるスケベおやじ型

↓は、学会の懇親会での某公的研究機関の某先生のセリフです。

「お前、乳がデカいからって自分のこと良い女だと思ってんのか?」

ほろ酔い気分もスーッと冷める、強烈な一言ですね!

乳がデカい=良い女

って考え方がいかにも男性的で嫌悪感を覚えます。

私は自分のことを、仕事もできて家庭に愛されている、甚だ良い女だと常日頃思っていますが(←おいっ!)、バストサイズが私の自己肯定感に影響したことなんて1度もありません!

このスケベ親父が私に対して思うところがある、というのは十分理解出来ましたが、それを伝える目的として女性の身体的特徴に言及するなんて、ウ〇コにも劣る行いでしょう。

今は某国立大学の教授になっているようですが、〇〇大学の学生さん、気を付けて~!!

とんでもないセクハラ親父が近くにいますよ~!!

まったくも~、この類の男性ってのは、女性の胸が好きで好きで仕方がないのでしょうか?

この類のセリフを、別の研究機関の男性からも言われたことがあります。

「オレは貧乳が好きだから、お前の乳には興味ない」

こちとらあなたの人間性含めてどの部分にも興味ありませんよ!!てやんでい!!

貧乳が好きであるというあなたのその性癖にも興味なんてありませんから!!

もしかしたら、こういうことを言われた時に、

「この乳は2人の子供を完全母乳で育て上げた良い乳なんですけどね~」

とか、

「うちの旦那は大好きみたいですよ」

なんて笑顔で返答しているから、こういったセリフを言って良い相手だと認識されちゃってるのかもしれませんけどね。

まぁ、とはいえ、セクハラ発言さえなければ私も笑顔で対応したりしない訳ですから、非は1000 % セクハラ親父にあると言って良いでしょう。

胸を触られる、ってことはさすがに日本国内では(!)経験しませんでしたが、手を握られるなどのボディータッチは何回かありました。若いころには。今は無いけど。

当時は今ほど会話の録音が容易でなかったのですが、もし、今ぐらい録音がお手軽だったなら、日本の男性研究者/教員の数は半数程度に減少していたかもしれません(←言い過ぎ)。

Case3: (既婚者なのに)学生に恋しちゃう型

朗らかで学生思いだけど、すぐに女子学生に恋しちゃう困ったちゃん。

目の届くところに可愛いあの娘の彼氏がいようものならさぁ大変。

立場を利用してあの手この手で意地悪して、目の届かないところに追い払っちゃう!

これがまた、既婚者で、飲み会にも学会にも奥様同伴で来るんだからあら不思議!

なんてロクデナシ!!

某教員は、奥様とラブラブで、飲み会も学会も奥様同伴でいらっしゃるのに、ちょっと気に入った女子学生がいるとのめり込んで周囲に様々な軋轢を産むという、本当にどうしようもない人でした。

有難いことに(?)、私もこのロクデナシ教員に可愛がられていました。

幸い、私の恋人はこのロクデナシ教員と関わりのない人だったのであまり直接的な被害はありませんでしたが、

たまに彼が私に会いに来て、このロクデナシ教員と鉢合わせした時などはものすご~く雰囲気が悪くなり、見かねた先輩から

「彼氏を大学に連れてこない方が良いんじゃないか?」

とアドバイスをいただいてしまう程でした。

このロクデナシ、ついには自分の研究室内で誕生したカップルの男の方を研究室から追い出すという暴挙に出て、訴えられていました。

本当におバカさんですよね。

訴えられた後も離婚はせず、イベントには変わらず夫婦で顔を出していたというのだから、奥様もなかなかの強者です。

セクハラは百害あって一利なし

被害者の許可を得ていないのでここで詳細は記しませんが、私がここに書いた被害などかすむぐらいの壮絶な被害にあった友人もいました。

 

教員と2人で宿泊を伴う出張をしたら、ダブルの部屋が1部屋しか予約されていなかった

唾液を舐めるよう強要された

 

などなど、直接被害者から話を聞いた範囲でも、俄かには信じがたい話を色々と耳にしました。

なお、上記ケースの加害者は両方とも既婚者でした。

どビックリですわ。

自分のセクハラ体験談を面白可笑しく書きましたが、セクハラを受けた時は傷付きましたし、とても嫌な気持ちになりました。

まわりの被害者もみんな傷付いていたし、中には大学から去ってしまった友人もいました。

当時は(もしかしたら今も、かもしれませんが)、セクハラ被害が公になることは少なく、仮に公になったとしても、加害者が処分されることはありませんでした。

Case3で訴えられた学生を好きになっちゃう教員も、訴えた相手にお金を払って示談になった後、大学から処分されたということは無かったようでした。

以前研究でお世話になったお医者さん(男性)とセクハラ談義をした際、

「セクハラをする人は、自分がセクハラをすることで相手が喜ぶと本気で思っているんだよ」

と仰っており、腰を抜かすほどビックリしました。

先述の通り、セクハラ被害者は例外なく不快な思いをしており、喜ぶ人などいませんでした。

セクハラは、今や簡単に訴えられる時代です。

する方もされる方も、お互いに百害あって一利なし!

もしセクハラの被害にあったら、まだ被害が軽いうちから

「今のセクハラですよ、最近はSNSもあるから広まるの早いですよ」

というだけでも、十分抑止力になると思います。

リケ女2号の私見に満ちたひとりごと

相手が不快感を覚えるようなハラスメントは、セクハラでもパワハラでもモラハラでも、あってはならんですね。

私は、齢40を超えた今となっては、セクハラの被害にあう事よりも、自身の言動がセクハラやパワハラになってしまう可能性を恐れていて、常に言動に気を付けています。

物凄く欲しいけれど、原田龍二のカレンダーをデスクに置くことも我慢しているし、同僚に恋バナを持ちかけることもなく、品行方正な局を演じています。

まぁ、ハラスメントって、結局相手にどう思われているか?って問題につきますよね。

医学部に存在した、「自分がセクハラ(本人は親しくしているだけのつもり)することで相手が喜ぶ」と心の底から思っているようなタイプの親父は、自己認識が甘いということに尽きるかと思います。

寂しいけれど、私は、

    • 会社の中で私に好意的な人は存在しない
    • 内容がどうあれ、自身の言動が相手に不快感をもたらす可能性がある
    • 社内の人間はあくまで同僚であり、お友達ではない

と自分に言い聞かせながら、会社での時間を過ごしています。

原田龍二のカレンダー、心の底から欲しいし、机に置いて毎日眺めたいけれど、ぐっとこらえます。


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