学振特別研究員(DC)の申請書を書いた時の話

学振特別研究員とは博士課程在籍の学生や博士取得後5年未満の若手研究者が応募できる制度で、審査に受かると博士課程の学生の場合は月20万円のお給料と研究費がもらえます。

私もおやびんも、この学振特別研究員だったことがあります。

学振特別研究員の中にも様々なタイプがあって、

博士課程の学生は、DC1, DC2というタイプ

博士卒業後はPD、RPD, SPDなど

もらう時の立場によって、呼ばれ方や、お給料が違います。

今回は私が学振特別研究員DC2に採用された際、申請書を準備した時の状況を書き落としていきたいと思います。

私が学生の時は、DC1やDC2に申請する以前に、論文やそれ以外の業績で誇れるものが、何か一つは必要だと言われていました。DC1は修士課程2年の春に申請するのですが、その時は誇れるような業績もなかったので、博士課程1年の時に応募できるDC2に応募しました。(DC1は3年、DC2は2年間学振特別研究員として採用され、研究費が貰えます)

ちょうど、5月15日くらいが学内締め切りで、

4月20日くらいに先生に申請書の計画表2案を出して、どういう方向性で申請するか相談したことを覚えています。

その前に研究室の先輩にも、申請書の準備について相談しました。その時、先輩が応募した際の申請書を見せてもらいまして、申請書を書くコツを教えてもらいました(私がいたのは、大学院大学のようなところで、普通の地方大よりは、大学院生がたくさんいて、DC1, DC2を持っている人も、ちらほらいたのです)。

そのコツとは、先輩曰く、

 

  • 通った人の申請書は何をやれば何がわかるのか、わかりやすくはっきり書いてある
  • 申請書の注意書きのとおりに書くことが大事

 

というものでした。

 

この2つのアドバイスは、今でも研究費申請する時に思い出す大事なポイントです。

そこで、研究計画や研究の背景はすぐに書けそうだったのですが、なかなか書けなくて、悩んだ箇所があります。それは、研究の意義、インパクト、将来の見通し等を書く部分です(申請書には、背景、研究内容、計画など、書かなければいけない項目がいくつかあります)。

研究の意義なんて、背景部分に似たようなことを書いてしまうのに、改めて別枠に研究の意義を書き記すことがすごく難しかったのです。

そこで私が考えたのは、ここには誰も使わなかったような強力で新しい、インパクトのある言葉を書くことでした。先生はある程度内容にコメントしてくれましたが、この部分はほとんど手を加えてくれませんでした。

とにかく強力な文を書くために、インターネットでいろんな語呂合わせを検索したり、辞書を眺めたりして、インパクトを伝えられるような単語を探しました。いい文が書けたら、それをインターネット検索にかけて、同じ言葉を使う人がいないか精査して、オリジナリティーがある文をヒヨッコなりに考えたのです。そしてその申請書は一次審査を通過し、二次審査(面接)の末、DC2に合格しました。

この時書いたDC2の申請書をその数年後、PDの申請をする際に見直したことがあります。その時、かつての私が書いたはずの申請書中での言葉遣いに、圧倒されたことを覚えています。

当時、DC2を書いた時の状況を振り返ると、

私はDC2の申請書を書いていた当時、博士課程にまで進学したことに対して親に後ろめたさもあり、研究者としてやっていく自信もそれほどなかったので、DC2が通らなかったら研究をやめようとまで思いつめていました。そこで、朝方まで研究室に残って、いい文章が書けるまで粘っていました(学生部屋に夜中一人残って安全のため鍵をかけていました)。とにかく必死で、プレッシャーでお腹を壊しつつ書いていました。

その文を数年後、研究者として成長した私が、PD申請時に改めて読み直し、PD申請のための下書きの文章と見比べ、学生時に書いた本気の文章に、負けた、と思い、焦ってしまったのです。

いくつか、合格者の申請書や研究費申請に成功した申請書を見せてもらったことがありますが、いい申請書はやっぱり、理路整然としてわかりやすくて、読んでいる最中に輝いて見えるような心地がするものでした。

ここでは、実際にその申請書をお見せできないのですが。学生の皆さん、もし周りに学振特別員経験者がいたら、まずは申請書を見せてもらうことをお勧めします。こういう時、ダメ元でも押しかけて先輩に頼んでみようとする人と、プライドが邪魔をして頼めない人がいます。後者は高学歴の方に多い傾向があります、が、プライドなんて意味のないもの、何も考えずにポイっと捨て去るのですよ!

 

 

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