鬱になるギリギリの状況で、明暗を分けたこと

思えば、私が「病気の鬱」があるという実態を知ったのは、大学4年生の時、研究室に配属された時になります。

その頃、研究室で他大学から博士課程に進学してきた女性の先輩と知り合い、仲良くしてもらっていたのですが、その先輩が夏を過ぎた頃に突然、大学に来なくなったのです。

その年の夏は、私も大学院入試で忙しくしていたので、なぜ先輩が突然来なくなったのか、私がいない間に何があったのか心配して、メールや電話で、本人に連絡を取ろうとしました。その後、彼女と連絡が取れるたびに一緒に街に出かけたりしていたのですが、私が卒業する頃には、彼女はほとんど大学に出てこれない状態になっていました。

そのときまだ未熟だった私は、先輩の状況を滅多に起こらない事例のように思っていました。

でも大学院に進学したあとは、毎年のように同じような例に遭遇し、鬱は、さらに身近な問題になってしまったのです。

大学院で、一番お世話になっていた先輩も、突然研究室に来なくなることがありました。大学院で研究室に配属されて、夏を越えた頃、私にも先輩の不安定な状況を知るきっかけになる出来事がありました。明日、@@時に@@の実験を一緒にやりましょう、と約束したのに、彼は約束の時間になっても、姿を見せなかったのです。

それまでにも、研究室でその先輩を見かけない日は頻繁にありました。でも、私はこの約束の日になるまで、彼が精神的な問題で研究室に来れない状態だったとは、考えたこともありませんでした。

この時、前日まで元気にしていて、深夜まで実験していたので、事故にでもあったのかと、心配し、メールを書き、電話も数回かけてしまいました。そして、数日置いて、彼が復帰した際、いつも通り元気な様子を見て、ただただ安心したものです。

そして似たような状況に毎年のように、遭遇し、

もはや約束が守られない、ことに慣れてしまいました。

それまで元気だった人が、急に、パッタリと来なくなるのです。約束の時間に来ないどころか、それ以降全く顔を見せなくなる。

彼らは、人間的に問題があったわけではなく、優秀でいかにも育ちがよく、真面目で、周囲の信頼の厚い人でした。

でも、彼らは研究室に来れないからといって、大学院を出て就職したあとも同じような状況が続くかといえば、そうではありませんでした。鬱で大学に来ていなかった先輩や後輩が数名、一般企業に就職したのですが、会社の規則的な就業環境で、何の問題もなく、むしろ生き生き働いています。

 

だからといって、身近で鬱を見てきた身としては、環境を変えればいいよ、と楽観的に構えてはいられません。最初は、1日無断で欠席していた程度の人が、1週間、1ヶ月、音信不通になると、さすがに生存確認をしないではいられなくなります。

親にまで連絡して、彼らの部屋を直接訪問する必要性が出てくると、周りにいる私たちも心配でたまらなくなってきます。ほとんどの人は、一ヶ月大学や研究室に来なくても、特に健康上問題なく、復帰しますが、復帰できずに落ちていく人もいるからです。

 

私は、ギリギリのところで、鬱になっていません。

それは、私が精神的に強いというのもあるのかもしれませんが、実際のところ、そうとも言い切れません。私にも、もうダメ・・・と思うことが何回かあったからです。(前回の記事で、精神的に強い方だと書いてしまい、矛盾していますが)。

大学院の頃、明らかに休みが必要な状況で、締め切りが次々と押し寄せてきて休めず、心身ともに壊れそうで危険だと思う時がありました。そんなときは、ギリギリのところで、親や彼氏、友人が心の崩壊を食い止めるようなストッパーになっていました。

その頃、特に母は、一番大きな心の支えでもあり、辛い時はいつも電話をしていました。もしもダメな時、動けなくなった時、電話をしたら、遠方にいてもすぐに駆けつけてくれる母がいて、逃げ帰れる実家がある、というのが、私の極限までの頑張りを支えてくれていました。例えると、私は戦闘機で、その戦闘機が着陸して休めるような空母(実母)が心の中にあった、という感じです(浮気症の彼氏が、本命彼女を空母に例えることがあると、おやびん(リケ女2号)が言っていましたが、まさにそのイメージです。状況は違えど、親に対し、空母のようなイメージを思い描いています)。

周りの人には、私が、平静を保って安定して頑張っていたように見えていたのかもしれないのですが、

実際は心の整理がつかなくて、もがき苦しんで、叫びだしたくなるような時もあって、朝、家を出るのが辛い時も数え切れないくらいありました。そんな時、心の中でいつも身内を呼びかけて、歩くだけでも息切れがするような心地で研究室に向かっていたのです。

『空母』が、鬱になるか、ならないか、の明暗を分けたような気がします。

最近、あなた(私)は精神的に強いですね、ということを続けざまにいろんな人に言われたので、その強さの実態を、ここに晒してみました。


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